【七飯町】歴史館(No.059)

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 色々と更新のペースが遅くなっている為、施設の情報とか施設の概要のみご案内している場合があります。詳しくはお知らせをご覧下さい。

 博物館とか資料館とか記念館とか巡りが大好きな中の人がお送りする、地元北海道内の博物館とか行ったメモ。
 第五十九回目は「七飯(ななえ)町歴史館」です。

 隣の北斗(ほくと)市には北海道初となる新幹線駅がありまして、ここ七飯町には新幹線用の総合車両基地が建設されたそうです。この総合車両基地は全国でも七飯町で5つ目との事で、札幌まで延伸しても七飯町にしか総合車両基地が設置されないそうです。つまり、道内唯一の総合車両基地がある町になりますね。見学ツアーとかあるのかしら?

施設情報

施設名:七飯町歴史館
場所:〒041-1111 北海道亀田郡七飯町本町6丁目1−3
URL:http://www2.town.nanae.hokkaido.jp/rekisikan/
休館日:年末年始のみ
開館時間:9:00~17:00
料金:無料
必要見学時間:40分(企画展示が開催されている場合は+20分以上)

施設概略

 原則として休館日が年末年始のみと言う非常に漢らしい印象を受けますが、職員さんとか大変そう・・・。
  • 七飯町の先史時代から現代に至るまでを、約1,300点もの資料で説明されています。
  • 常設展示室と企画展示室があり、後者では年5回の企画展が開催されているそうです。
  • 学習サービス室では文献等が置かれ、貸し出しはしていないそうですがその場で読むのは自由との事です。

屋外展示

 七飯町は「西洋農業発祥の地」との事で、玄関の隣にはレーキと呼ばれる農業機械が屋外展示されていました。

エントランスホール

 館内に入って左側が常設展示室で、奥側が企画展示室になります。
 本施設に限った事ではありませんが、基本的に写真撮影が可能な施設でもフラッシュを使用した撮影は禁止されている場合があります。展示資料が痛む事に繋がりますので、フラッシュ撮影禁止と明記されていなくてもフラッシュは利用しない様にして撮影しましょう(頭が光っている場合は仕方がありません)。

常設展示室1

 常設展示室は「民具・生活」と「歴史」の大きく2つのブロックに分かれており、入ってすぐは「民具・生活」の展示となり、更に春夏秋冬に分けて説明されています。こちらではリアルサイズの古民家を中心として、大量の展示品が並べられています(古民家の前のスペースは小さいお友達向けの体験広場との事です)。

民具・生活 / 春

 後に登場しますが、明治3年(1872年)にドイツ人によって西洋式の農業が伝えられたそうで、それを契機として近代農業の基盤が整えられて現在に至るそうです。
 その為なのか、現在では大根、米、葱、人参、大豆、リンゴ、ブドウ、椎茸、酪農と幅広く、海が無いのにじゅん菜、ワカサギ、エビ、昆布も特産品であり(後述)、道民にはお馴染みのコアップガラナや新幹線まで採れる、ちょっと意味が判らない地域になっています。

 春になると畑の準備、放牧の為の子牛の運動、椎茸の準備、豆腐作り、味噌の樽詰め、果樹の剪定等々のお仕事があるそうです。
 まぁ、他にも様々なお仕事がありますが、それよりも何よりもこのブロックの解説パネルの文章が凄く詩的なんですよ。例えばここの春のコーナーの開設パネルの一つでは「大沼の向こうに、駒ケ岳がしま馬模様に見えるころになると、ツバメの巣作りが始まる。カッコウの鳴き声で、いっせいに鍬や鎌、手籠を持って畑に向かう。 ~中略~ 酪農を営む農家では、放牧に備え、牛の角を切ったり、足の爪を切ったりする。種蒔きは、横津岳の麓をなでるように、南側から順次進んでいく。」とか。どうよ? こんな感じで春夏秋冬が進められているのです。
 どちらかと言いますと、こう言った資料館だったり博物館での展示パネルは比較的に要点だけ書いたドライな感じが多いのですが、本施設の様に情景が目に浮かぶ解説パネルって初めてかも知れません。

民具・生活 / 夏

 夏頃に使用される道具類です。勿論、ここでも「八十八夜近くになると、藤城地蔵堂の祭典がやって来る。」と書かれており、藤城地蔵堂の祭典がどの様な内容なのかは知りませんが夏祭りの情景が浮かびます。お陰で解説に心を奪われて、展示品が頭に入って来ないんですよ・・・。

 こちらは水車ではなく「カラカサ」と呼ばれる輸入機械が原型の麦の脱穀機械で、川が無い平地で蓄力によって動かされたそうです。パネルには「カラカサと共に馬がぐるぐる廻る」とありましたので、これを水平にした状態で使用するのでしょうかね。

民具・生活 / 秋

 秋は収穫の季節ですので、ここでは他の季節よりも多く展示品がありました。
 あと、ご覧になっていて気付かれた方が居るかも知れませんが、本施設の展示品って新品同様にレストアするのではなく、当時の状態のまま綺麗にして雰囲気を壊さない様に展示されているんです。
 例えば牛乳缶ですがサビや汚れを丁寧に落とした後、あえて磨かないでクリアーを吹き掛けていると思われます。クリアーでコートするとサビ難くなりますし埃が付いても綺麗に拭き取れますもんね。これでピカピカに磨き上げると嘘くさくなりますので、雰囲気重視、でも綺麗を両立させているって中々難しいですよ。

 こちらは「押切(おしきり)」と呼ばれる切断道具で、名前の通り上から押し付けて切断する道具です。下側が刃になって固定されており、上の握り棒部分がボルトを支点にして上下します。物騒な「へし切長谷部」とは用途が異なります。
 ※参考動画

 ジャガイモの一つに「男爵いも」と呼ばれる種類のイモがありますが、ここ七飯町は男爵いもの発祥の地でもあります。この器械は、その採れたイモの一部をすり潰して澱粉にしたりする為の道具なんですって。
 因みに、ここ七飯町には過去に「男爵資料館」があったのですが現在では閉館してしまい非常に残念な気持ちになったのですが、平成30年(2018年)に新しくオープンした道の駅「なないろ・ななえ」に併設されたレストランであるTHE DANSHAKU LOUNGE(https://danshaku-lounge.com/)の一角に七飯町男爵資料館として展示されています。やったね!

 内部はこんな感じです。手回しオルゴールみたいね。まぁ、ゴリゴリと音が鳴るのでしょうけど。

 ざっくりと左が田んぼ系、右が畑系の展示です。

 先にも書きましたが、ここ七飯町では多種多様な作物を生産して特産品として販売されています。後で登場するのでリンゴとかについてはここでは触れず、中でも異色な昆布について少々。勿論、畑から採れる訳ではないです。
 道の駅「なないろ・ななえ」の道路を挟んだ向かい側に北海道昆布館と言う施設がありましたが(現在は閉館してしまいました)、そこではその名の通り昆布そのものの他に昆布製品が多々販売されており、常に観光客の方々で賑わっています。又、昆布の加工工場も観覧出来る構造になっていまして、コンブソフトクリームとか販売されています。余談ながら、昆布館の中に北海道昆布館コンブミュージアムと言う、昆布に関する博物館がありました。そして、この昆布館は福井県敦賀市にもあり、恐らくこちらの敦賀の方が本体かと思われます。
 そもそも北海道と敦賀の関係ですが、これは江戸時代から明治時代に掛けて北前船が昆布を本州に運んで販売した事から始まります。現在も北海道で獲れる昆布は全国シェアで約97%とダントツですが、北前船が活躍した当時も北海道の昆布の品質の良さは有名で、北海道産の昆布が主に関西方面に流通されていたそうです。関西って昆布出汁が多いですし。そして関西方面に荷を運ぶのに敦賀が便利だった為、こうして北海道と敦賀の関係性が生まれたみたいです。
 それでは、どうして海の無い七飯町で昆布製品が特産品になっているのかと言いますと、恐らく北海道昆布館を設置するに当たって立地が良かったからです。だって七飯町で昆布なんて絶対に獲れないですもん。

民具・生活 / 冬

 冬は冬で、1年分の炭焼きとか使用した道具類のメンテナンスとか諸々と忙しい様です。

 ここで書く必要も無いのですが、何処かのタイミングで書いておかないと忘れそうなので。
 他の施設でも言えるんですけど「○○のあゆみ」とか表記されると「いしだあゆみ」さんを思い出すんです。その度に「あなたならどうする~」が流れて困るんです。そう言う病気なんです。

 ※参考動画

 3つある展示の内、右側は七飯町にあって国定公園にも指定されている大沼(おおぬま)から氷を切り出す様子を展示したコーナーでした。これ、絶対に落ちた人が居たでしょうね・・・。
 余談ですが、真冬に服を着た状態で水に落ちた場合には濡れた状態で居ると凍傷になりますので、すぐに落ちた人を雪に埋めて雪で水分を吸い取り、その後に暖かい場所に移す方が良いらしいです。まぁ、そもそも落ちるなと言う話なんですが。

 因みに、切り出された氷は馬橇(ばそり)で氷室まで運ばれ保管されたそうです。結構な重労働ですけど、そもそも製氷機能付きの冷蔵庫なんて無い時代ですから、冬の間に氷をゲットする必要があったんですね。そうじゃないと夏にカキ氷が食べられないですもんね。

 この大沼は駒ヶ岳(こまがたけ)の噴火によって出来た湖沼でして、大沼・小沼(こぬま)・蓴菜沼(じゅんさいぬま)で構成されており、およそ沼とは呼べないサイズです。因みに、じゅん菜が獲れる事から蓴菜沼と名付けされたそうです。じゅん菜だけではなくワカサギも釣れるそうで、これを佃煮にしたり筏焼きにした特産品が販売されていますが、個人的には「大沼だんご」をお勧めしています。
 詳しくは大沼国定公園の情報ウェブサイトの大沼ップ(http://onumakouen.com/)をご覧下さい。大沼の情報だけではなく、1年を通したアクティビティの情報ですとか、色々と紹介されています。

 これは・・・どうやって遊ぶのか・・・。このまま乗っても体が何処かに飛んでいきそうなんですが。紐でも結んでおかないと股がバキッてなって悶絶しますよね。

民家

 まんが日本昔ばなしに登場しそうな民家ですが、こちらは明治後期頃に立てられ、そのまま昭和初期まで生活した様子を再現しているそうです。
 東北地方の日本海側で良く見られる構造との事で、写真では判り難いかも知れませんが中央に煙り出し(煙突)があります。

 内部はこんな感じです。ザ・普通。

 天井部分を下から見上げたんですが、しっかり作り込まれていて素敵。
 今でこそ機械とか工具とか充実しているので少しは楽に建てられるのでしょうけど、当時は大変だったのでしょうね・・・。茅葺き屋根も定期的にメンテナンスしないとなりませんしね。

次は歴史に関する常設展示です。

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