【江別市】北海道立埋蔵文化財センター(No.054)

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 色々と更新のペースが遅くなっている為、施設の情報とか施設の概要のみご案内している場合があります。詳しくはお知らせをご覧下さい。

 博物館とか資料館とか記念館とか巡りが大好きな中の人がお送りする、地元北海道内の博物館とか行ったメモ。
 第五十四回目は「江別(えべつ)市北海道立埋蔵文化財センター」です。

施設情報

施設名:江別市北海道立埋蔵文化財センター
場所:〒069-0832 北海道江別市西野幌685−1
URL:http://www.domaibun.or.jp/
休館日:月曜日
開館時間:9:30~16:30
料金:無料
必要見学時間:50分

施設概略

 ここ江別って実は遺跡が多いんですよ。
 縄文時代の次の続縄文時代は「北大文化」「恵山(えさん)文化」「江別文化」と大きく3つの文化に大別されるらしいんですけど、名前の通り江別文化はここ江別を中心にして広まったとされています。江別市郷土資料館でも遺跡が見学出来ますので、お時間のある時に併せて来館してみて下さい。
 因みに、本施設は別に江別の遺跡のみを展示している訳ではなく、名前の通り北海道内の各遺跡について展示されています。
  • 本施設では道内各地域の埋蔵文化財の発掘調査・保存・研究をしています。
  • 展示室では土器を中心とした内容で、埋蔵文化財についても丁寧に説明されています。
  • 定期的にイベントが開催されており、体験コーナーもあります。

エントランス

 土器がお出迎え。これをキャバレーの看板に見立てて下さい。そうなると左奥がママです。中央の小さいのは新人さんかな?

 食べかけのティラミスかと思ったら、平取(びらとり)町にあるアイヌのチャシ跡の模型でした。
 「チャシ」とはアイヌ語で「柵」とか「囲い」とかの意味らしく、その使い方は様々ではっきりした事は判っていないそうです。尚、北海道にはこのチャシ跡が500ヶ所あるんですって。

 エントランスから展示室までは日当たりの良い通路を進みます。

 ストーンヘンジとかミステリーサークルみたいな何かが。

 綺麗に並べられているのは黒曜石でした。
 ここは北海道で産出された黒曜石を、川(又は風)をイメージして展示されているとの事でした。白滝地区は国内有数の黒曜石の産地で、その近くには遠軽町埋蔵文化財センターがあります。黒曜石のギャラリーが必見ですので、お近くをお通りの際には是非。

展示室

 北海道には12,000ヶ所以上の遺跡が確認されており、赤いピンが打たれているのが遺跡です。血行が良くなりそうですね。あと、写真がブレている様に見えますが、これはピンの数が多くてそう見えるだけで残像とかではありません。

 奥に長いワンフロアーです。詳しくは書きませんがこちらの職員さんは親切です。

 映像展示だけで2時間・・・! しかも、ちょっと面白そうだから困ります。ポテチ必須(施設内の飲食は禁止されています)。

埋蔵文化財センターのお仕事

 先ずは埋蔵文化財センターとは何を行う団体なのかの説明です。
  • 埋蔵文化財の発掘調査。
  • 埋蔵文化財の研究・資料の作成・保護。
  • 埋蔵文化財の広報・周知。

 上記が主な業務内容となり、その中で様々な発掘・報告がされているそうです。
 因みに、設立されてから20年間で150ヶ所を超える遺跡の発掘調査をしているんですって。北海道は冬があるので発掘とかは難しいでしょうから、夏から秋に掛けて集中的に調査をされるのでしょうね。単純に150ヶ所を20年で割ると7.5ヶ所/1年ですけど、12月から4月までは雪に覆われているとすると月1ヶ所と言うハイペース・・・。

 これが数ある発掘調査現場の内の1つを再現したジオラマです。
 北海道厚真(あつま)町でダムを作る際に発見されたらしく、オニキシベ1~5遺跡まであるみたいです。詳しくは全国遺跡報告総覧にアクセスしてご自身でお調べ下さい(面倒くさい)。それにしても「キシベ」と言うと一徳(サリー)か四郎かとなるんですけど、皆さんはどちらなんでしょうかね?

 出土した土器を復元し、細かく実測して資料にしています。気が遠くなる・・・。

 何処かの国の民族楽器ではなく、特殊な定規です。薄い竹(材質はメーカーによると思いますが)が重ねられており、これを対象物に対して横から押し当てる事によって薄い竹が移動し、対象物の形状がコピーされる便利グッズで「マコ」と呼ぶそうです。マコちゃん。
 こちらの計測機器を販売されている会社(http://www.land-art.co.jp/products/list.php?category_id=65)でお買い求め頂けます。高い。

 目で確認出来る発掘品だけではなく、顕微鏡クラスのモノまで分析・保存もしているそうです。

 可愛いイラストで解り易いのですが、その内容が・・・。
 因みに「フローテーション」とは、土の中に含まれている植物の種子等の非常に細かい遺物を採取する方法との事です。

 そう言う細かい作業の繰り返しによって、新聞に取り上げられる様な発見があるのです。

 この様に、試行錯誤を繰り返して分析・保存が行われているそうです。

 因みに、上記の発掘品もイラストで完全再現。こう言う作業は真面目な人物じゃないと無理です。

道具類

 ここは道具類のコーナーです。石器や木器の材料は身近にあって入手し易いでしょうから大量に利用されたでしょうし、特に石器は腐るモノでもないので残り易いのでしょうね。

 エントランスから展示室に繋がる通路でも展示されていましたが、こちらでも遠軽(えんがる)町白滝地区から出土した黒曜石が展示されていました。

 木器は腐食するので遺物として残り難いと思うんですけど、土壌の地質によっては稀に発掘される場合もあるそうです。やっぱり発掘したらテンションも上がるんですかね?
 因みに江別では重要文化財として、熊をあしらったかんざし等の木製品が幾つか出土されています。

千歳市美々8遺跡

 右側が木器で、左側が骨角器(こっかくき)です。「骨角器」とは、動物の骨や角等の硬い部位を利用して作られた道具や装身具類で、現在で言えば象牙の判子とかそう言う感じでしょうか。そう言えば釣り針とかにも使用されていますよね。
 それと、川や湖沼に近く低い土地は「低湿地」と呼ばれていますが、そうした地質では通常では消えてしまう木製品等の遺物が残り易いそうです。低湿地で発見された遺跡は「低湿地遺跡」と呼ばれ、北海道千歳市にある美々(びび)地区から「北海道美々8遺跡」が発掘され、1,164点(木製品はその内の858点)の出土品が重要文化財に指定されているとの事でした。豊漁。

 こちらも北海道美々8遺跡からの出土品です。木製品の他に漆器・繊維製品・ガラス玉・金属製品等々が出土されたそうで、これらも重要文化財に指定されているとの事でした。
 左側の木製品は・・・古代の寝板か担架なんじゃないですかね。答えを知りたい方は北海道立埋蔵文化財センターに足を運んで下さい。

 北海道美々8遺跡の再現ジオラマです。やっぱり川が近いと生活には便利ですよね。鮭とか。

千歳市ママチ遺跡

 千歳市に真々地(ままち)と呼ばれる地域がありまして、そこから重要文化財が出土したそうです。解説されていますが土製の面でして、若しかしたら当時の溶接面かも知れませんね。

 俺は人間をやめるぞ!!

千歳市キウス4遺跡

 こちらも千歳市で発掘された縄文時代後期のものとされる遺跡ですが、崩れたオリンピックのマークみたいなモノは「周堤墓(しゅうていぼ)」と呼ばれ、土を掘ったり盛ったりして円形にし、その中に遺体を埋葬していたそうです。
 この「キウス周堤墓群」に関しては千歳市埋蔵文化財センターでも詳しく案内されていますので、興味のある方はそちらも来館してみて下さい(こちらに関しては近い内にご紹介致します)。

 出土品です。シンプルな土器から凝った形状のまで様々ですね。

 もう、ここら辺に至っては何が何だか。

 お手洗いを我慢しているのかな?

装身具

 想像するだけで痛そうですね・・・。時間を掛けて広げるんでしょうけれど、それにしても痛そう。

 翡翠(ひすい)と言えば北海道では日高地方が有名ですが、そこから運ばれたんでしょうかね。余談ながら、我が家には「翡翠」と言う名の三毛猫が居ます。可愛いですよ!

土偶とか

 本州とかで出土する一般的な土偶とは異なりますが、この様な土偶が北海道でもちょいちょい発見されているそうです。
 因みに函館市縄文文化交流センターで展示されている中空土偶は国宝でして、これは北海道唯一の国宝なんですって。いつか行って参ります。

 猫と一緒に寝ると毎日がこんな感じです(点線が猫部分)。

 手前の左から2番目は正体不明なんですね・・・。屈斜路(くっしゃろ)湖のクッシーかな?

 商品サンプルなんですかね。

土器各種

 壁一面の土器です。圧巻・・・!
 年代別に展示されており、左から縄文時代・続縄文時代・擦文時代となっています。何処かで見掛けた事のある形状から、コメントに困る形状まで様々です。

 なげぇ。超なげぇ。当時のお洒落花瓶かな? それか、鮭を立てた状態にして調理する為の土器なのか。

 縄文時代の後期頃の土器ですが、流石に後期にもなると造形が複雑になってますね。土瓶蒸しに良さそう。

 用途も目的も判らない土器ですが、ジンギスカンでお馴染みの北海道長沼(ながぬま)町から出土したとの事で、どうやら本州から伝わった一品らしいです。実際、貰っても困りますよね。作者は何を想って作り上げたのか・・・。

 こちらは北海道八雲(やくも)町から出土した「赤彩注口土器(せきさいちゅうこうどき)」と呼ばれる土器で、こちらも本州から伝わったらしいです。上のもそうですがベンガラか水銀で赤く着色されており、ここ一番の時に使用されたのでしょうかね。

 先ほどご紹介した美々遺跡の内の、美々4遺跡から発掘された土器です。土器の縁にフクロウの意匠が施されているそうです。

 本当だ! なんか可愛いですね。

 正式名称は「二重口縁の甕(にじゅうこうえんのかめ)」と呼ばれる擦文時代の土器らしいんですけど、アク取り用かな?

 同じ場所から出土するにしても、土器片を組み合わせるのって大変ですよね。こんなのパズルが好きじゃないと無理ですよ。

 どうやったらここまで復元出来るのか・・・。

 鬼女もうどん!(訳:鬼女でもうどんは食べる)

体験コーナー

 本施設では体験も出来てしまうのです。たまんねぇ。

 受付で記名するんですけど、その際に10ポイントのチケットを頂きました。何に使うのかを尋ねると、このチケットのポイントと引き換えにしてやりたいメニューの教材を選べるそうです。
 1.勾玉つくり/2.砂絵体験/3.拓本体験/4.ミニチュア土器つくりの4種を中心として、様々な体験が出来ます。出来ないのは鮭漁くらいでしょうか。

 そしてこれが教材です。これで無料なんですよ・・・。

 この様に教材によって使用ポイントが異なりますので、例えば粘土は4ポイントで編布(あんぎん)は3ポイントとなり、1回10ポイント頂けるので2種類の体験が出来てしまいます。

 丁寧なレシピも用意されており、小さいお子さんでも問題無く体験出来ます。尚、当日は小さいお子さんしかおりませんでした。その中にスーツのおっさん・・・。大変申し訳無く・・・。

 各ブースには必要な道具類が用意されています。

 中の人が選んだのはミニ縄文式土器つくりです。小さい縄も付属しており、きちんと縄文が付けられる様になっています。

 こちらは縄文式土器用のレシピです。

 とりあえず小部品の製作です。粘土を触ったのっていつ以来ぶりなのか・・・。

 ベースに巻き付けて重ねていきます。

 とりあえず感覚を掴む為に1回目のトライ。この後、壊して作り直ししました。

「江別市・北海道立埋蔵文化財センター」のまとめ

  • 道内の埋蔵文化財について解る。
  • 出土品そのものだけではなく、それに関連する発掘技術等も学べる。
  • 体験コーナー最高。お金を払っても良いレベル。

 動く地雷があると聞いて。
 先に謝っておきますね。ごめんね。

 かぁぁめぇぇぇぇぇぇむしぃぃぃぃぃぃ

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