【南富良野町】郷土資料室(No.096)

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 色々と更新のペースが遅くなっている為、施設の情報とか施設の概要のみご案内している場合があります。詳しくはお知らせをご覧下さい。

 博物館とか資料館とか記念館とか巡りが大好きな中の人がお送りする、地元北海道内の博物館とか行ったメモ。
 第九十六回目は「南富良野(ふらの)町郷土資料室」です。

 北海道には北から上富良野町・中富良野町・富良野市・南富良野町と、4つの「富良野」の名を冠する地域があります。又、それぞれ上富良野町郷土館、中富良野町郷土館、富良野市博物館とあり、今回は富良野の中でも最南端の南富良野町をご案内します。

施設情報

施設名:南富良野町郷土資料室
場所:〒079-2400 北海道空知郡南富良野町幾寅
URL:https://www.town.minamifurano.hokkaido.jp/all-facility/%E9%83%B7%E5%9C%9F%E8%B3%87%E6%96%99%E5%AE%A4/
休館日:月曜日
開館時間:8:30~17:15(体育館の開館時間とは異なる場合があります)
料金:無料
必要見学時間:20分
観覧年:2022年

施設概略

 本施設は幾寅(いくとら)にある町民体育館と接続されており資料館側の施設は主要道路側から見えない位置にありますので、町民体育館を目指してお探し下さい。又、体育館の職員さんにお声掛けして観覧させて頂く事になります。
 恒例の余談ですが、近くにあるJR幾寅駅は映画の「鉄道員(ぽっぽや)」で使用された駅で、現在は数年前に発生した台風被害による影響で幾寅駅は閉鎖中です。現在はバスによる代替輸送になっておりますのでこのまま幾寅駅は廃止されるそうですが、南富良野町「映画・鉄道員」ロケセットとして保存はされると思います。
  • 規模は小さめですが成り立ちから文化まで満遍なく展示されており、南富良野町の往時の姿も解ります。
  • 元々は他の場所にあった資料室をこちらに移転させたみたいです。

展示室

 本施設は元々は富良野高校の分校だったそうで、何か不思議な造りだなーとは思っておりました。
 展示コーナーの反対側は部屋になっており、卓球室、格技室、プレイルームになっていました。これらの部屋を利用される方々の目に触れる機会があるのは良い事ですよね。一般的に郷土資料は個別の建物になっておりそこに行かないと見られない事が多いので、本施設の様にいつでも視界に入って気軽に観覧出来るのは良い事かと。又、郷土資料はそうあるべきだとも思います。

 上から見ると国道38号線から入って突き当り部分が薄っすら白くなっておりますが、ここに校舎があったそうです。又、植樹されている後方側はグラウンドでした。
 先にも書いた通り元々は富良野高校の分校で、当初は夜間の定時制だったとの事。その後、色々と変遷して全日制になったそうです。現在の高校は町内の他の場所に校舎が建てられてそちらに移転しているそうです。

砂金・鉱業

 いきなり砂金の展示ですが、南富良野町の開基の切っ掛けは砂金との事で、明治24年(1881年)に現在の金山(かなやま)地区に本州から砂金採取の人々が家を建てて住み着いたのが始まりとの事でした。勿論、我らが松浦武四郎氏は遡る事、安政5年(1858年)には調査済みです。

 北海道での砂金採取は元和2年(1616年)から始められたそうで、徳川二代(秀忠)・三代(家光)将軍の頃なのでかなり古いんですって。途中、諸事情あって砂金採取が中断されて明治17年(1884年)に再開されたそうで、南富良野付近では先に書いた通り明治24年(1881年)に山形県出身の砂金採取集団が来道する様になり、現在の南富良野町の基礎になったとの事でした。
 当時は山形県最上地方に伝わる「ねこがけ」と呼ばれる技法で砂金採取していたそうで、他にも「ネコ流し」とか「流し掘り」とも呼ぶそうです。

 こちらは我が家のネコです。散々に遊んで暴れた後のちゅーるの配給待ちで、次々とネコが流れて来ます。正にネコ流し。

 明治35年(1902年)に石灰の鉱脈が発見されたそうで、こちらは現在も町内で採鉱されているそうです。
 余談ですが、この石灰は工業用としは勿論ですが砂糖を作る際にも使用されているそうで、道内の製糖所に供給されているとの事でした。尚、砂糖の作り方は最寄りの帯広市ビート資料館の2Fで説明されています。

林業・農業

 南富良野町は90%近くが山林で、明治の中期頃から林業が産業へと移行したそうです。次の項目でも触れますが、切り出された木材の搬出の為に森林軌道が道内各地に敷設されており、大正9年(1920年)から町内に徐々に延伸され、昭和31年(1956年)頃をピークとしてトラック輸送に切り替えられたそうです。
 展示コーナーの反対側の壁には明治44年(1911年)の頃の林業の様子を写した写真が展示されてました。

 南富良野町は農業が盛んで、主に人参、麦、ジャガイモ、そばが栽培されており、地味に甜菜も栽培されているそうです。知らんかった。尚、富良野地方はメロン栽培が盛んですが、ここ南富良野町でもメロンの栽培がされています。北海道は徐々に果物の栽培地域が北上していますので、これからどんどんと美味しい果物が生産されるのではないでしょうか。果物大好き!
 あと、畜産では牛、鶏が飼育されており、上富良野町では豚肉が有名ですけど南富良野町では養豚はされていないそうです。町史では昭和59年(1984年)頃は360頭が飼育されていたと記述されているのですが、公開されている町勢要覧資料を眺めていると豚は飼育されていない事になってました。現在は乳牛に移行したんですかね。

教育・鉄道・文化

 明治34年(1901年)に簡易教育所(後の尋常小学校)が作られたのを皮切りに町内の各所に小学校、中学校、高校と設立され続けられましたが、昭和40年(1965年)をピークとして人口減少に転じたのもあり、徐々に統廃合を繰り返して現在は中学校、高校が1校づつ、小学校が2校になっているそうです。

 昭和10年(1935年)前後の出来事と言えば、満洲事変、ドイツと日本の国際連盟脱退、五・一五事件、二・二六事件、支那事変、国家総動員法の成立、第二次世界大戦の勃発。色々ヤバいイベントが目白押し。アメリカ発の世界恐慌の所為で世界が荒んだのもあって世界中が大変な時代ですね・・・。
 そしてこちらがそんな昭和10年の小学生の冬休みの学習帳。イラストが学習ではなく勤労やんけ。とは言え、軍拡が進む中で軍需品の備蓄も必要な時代でしょうから已むを得ないのでしょうか。

 年表には「下富良野~鹿越間鉄道開通」と書かれておりますが、下富良野は現在の富良野市になります(富良野の変遷に関しては富良野市博物館の第3展示室でどうぞ。北海道の鉄道の変遷に関しては三笠市三笠鉄道記念館の第2展示室でどうぞ)。
 最初の方にちらっと書きましたが、平成28年(2016年)に発生した台風の影響で、町内の東鹿越(ひがししかごえ)駅から落合駅を通り隣の新得(しんとく)町の新得駅までの区間が不通になっています。そもそも乗客も少ない赤字路線ですので、復旧する費用は勿論、その後の維持費を捻出出来ない為に早ければ年内にはそのまま富良野から新得まで廃線になるそうです。そうなると道北と道東を結ぶ路線が無くなりますので利便性も悪くなりますし、この区間の過疎化は更に進むでしょうね・・・。とは言え、費用の問題もありますからね。簡単に存続させろやーとか言う人もおりますが、その費用を何処が負担するのか。JR北海道には無理ですし沿線自治体だって無理ですし北海道が負担するのも理解が得られないでしょうし。今後、人口減少が続くと思われますので道内各地で同じ様な現象が起きますよね。

 この南富良野町無形文化財に指定されている幾寅獅子舞は明治36年(1903年)に発足したそうで、富山県の越中獅子舞が源流との事でした。詳しくは南富良野村史、南富良野町史に記載されています。

写真パネル

 壁一面には南富良野町の在りし日の写真が展示されていました。

 明治44年(1911年)頃に撮影された林業の様子です。当たり前ですがほぼ人力。林業に限らずですが、人力による第一次産業のお仕事は大変ですよ・・・。

 砂金採取が意外と大規模で驚いた次第です。もう土木工事じゃんね。個人的で貧相なイメージでは、川に入ってザルとかで妖怪・小豆洗いみたいな感じで採取しているのかと思ってました。

 洪水の対策と電力の確保の為にダム建設が必要となった為、空知川の良い感じの場所にダムの建設が決まり、それが現在の金山ダムと人造湖であるかなやま湖です。地図で見るとかなやま湖はかなり広く、その影響で水没してしまう集落もあり、かなりの戸数が移転を余儀なくなれたそうです(補償はされておりますが)。今は湖底に沈んでしまった往時の集落の写真も展示されていました。
 尚、この金山ダムは北海道で唯一の中空重力式ダムとの事で、全国でも13ヶ所しか現存していないそうです。何でも当時はコンクリートの使用量を抑えるのに有効な工法だったらしいのですが、現在では新しい工法のお陰でコンクリートの節約が出来ているそうで、中空重力式ダムによる建設はされていないとの事でした。金山ダムに関しては南富良野町金山ダム管理支所「湖・ダム・ふれあい展示ホール」でどうぞ。

「南富良野町・郷土資料室」のまとめ

  • 職員さんの「そんなに見るモノは無いんだけどー」との言葉とは裏腹に意外と充実している。
  • 大型の展示は無いものの、各ジャンルには詳しい年表や解説がされている。
  • ネコ大好き!

 ぴえん。

次回のお知らせ

 次回はこちらをご案内致します。

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